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  POSの成り立ち
ここで言うPOSは小売店の端末とホストコンピュータを結んだ商品管理システム Point Of Sale ではなく、問題志向型システム Problem Oriented System のことです 。
POSの考え方に沿った診療録の概念は1964年に米国の内科医Lawrence Weedが提唱し ました。
ただし、起原はWeedのオリジナルではなくて1950年代半ば理工学系分野からArt of problem solving「問題解決のアート」として提唱されたのが最初とされています。
日野原重明氏らにより日本に紹介されたのは1973年ですから、既に30年以上の歴史を持 ちますが、最近では様々な要因からPOSからフォーカスチャーティングに移行する施設が 増えつつあるようです。
2001年3月施行の日本看護協会によるアンケート結果を見るとフォーカスチャーティング は、日本に紹介されたのが1994年と比較的最近にも関わらず、17.4%の施設で採用されてい ました。
その後も活動や研究会が盛んに行われてますので、現在はアンケート施行当時より更 に高い割合を占めていると思われます(図1)
もう一つの流れとして、電子カルテを導入した施設ではNANDA-NIC-NOCが 標準化されつつあり、書店でもPOSよりこれらの書籍が目立つようになってきました。
  当院の選択は
フォーカスチャーティングもNANDA-NIC-NOCも優れた方法ですが、その成り立 ちはいずれも看護という枠組みの中から生まれてきました。それゆえ記録に関しても「看護 記録」という枠組みの中での方法論となります。
→理念は PONR(Problem Oriented Nursing Record)の確立
POSの成り立ちは古くは理工系であり Lewrence Weed が医療分野にその概念を提唱し た際も診療録は Integrated physician and nurse progress notes is absolute must.
としています。つまり「患者様の記録」であって「医師の記録」でも「ナースの記録」 でもなく職種を越えた共有の記録であるべきことが強調されています。
→理念は POMR(Problem Oriented Medical Record)の確立
最近の状況を見るとPOSは既に旬を過ぎたシステムにも思えますし、POSから他のシ ステムに移行する施設も珍しくありません。POSからフォーカスチャーティングに移行 した施設の多くが掲げる代表的な理由「POSの基本的な記載方法であるSOAP形式の A(アセスメント)やP(プラン)が書けない」と同様の状況に当院も陥っており、POS からフォーカスチャーティングへの移行も検討しましたが、今一度POSの理念に立ち戻り、 運用方法の基本から見直す方向を選択しました。その理由は以下の一点に集約されます。

※POSは「看護記録」ではなく職種を超えた「共有の診療録」を目指すという理念への共感。

  プロブレムリスト
POSシステムで情報共有の重要な要素はProblem List であることに異論を唱える方は少 ないと思います。Problem List は「問題リスト」もしくは「問題点リスト」と訳されて使用 されいる場合が多いようです。
わが国では2000年の公的介護保険施行前後から患者様の「ニーズ」という表現が日常 的に用いられるようになりましたが、Problem という用語は患者様の正常な生活を妨げる要因 すべてを意味し、本来は医療スタッフの視点だけでなく患者様の視点である「ニーズ」もそ の範囲に含んでいます。
しかし、当院においてはProblemを「問題」や「問題点」と訳すと、訳語の持つニュアン スから医療スタッフ側の視点だけに注意が注がれ「ニーズ」の視点が忘れられがちな傾向が 認められました。 そこで Problemを理解する上で「ニーズ」の視点を忘れてはならないという意味を込め、 2005年4月からそれ以前の「問題点リスト」という呼び名から「プロブレムリスト」に改めて います。
  ナンバリングの問題
解決すべきプロブレムリストの課題としてナンバリングの問題があります。
プロブレムリストでは各プロブレムに番号を与えますが、一般的にはプロブレム番号と 優先度には直接の関係はありません。
プロブレムリストを最初に作成する際は、一般的に優先度の高いプロブレムから#1、#2 と番号を小さい順から振ってゆきますが、後に重大なプロブレムが生じた場合でも、そのプ ロブレム番号はそれまでの最大番号に1を加えた番号を与えるのが普通です。そうなると、 次に示す場合のようにプロブレム番号と優先度の関係は崩れてきます。(図2)
そこで当院が選択した方法は、プロブレム番号の書式を「リスト更新の通し番号 # 優先順位」 とする方法です。「リスト更新の通し番号」はプロブレムリストの更新通し番号でPDCA サイクルの通し番号と言い換えることも出来ます。当院では2ヶ月に1回以上見直しを行うこ とを原則としています。
「優先順位」は新規にプロブレムリストを作成した際の優先順位を表しています。(図3)
下記の例では「2回目のプロブレムリスト更新時に優先順位の最も高かった(#1の)プ ロブレムは急性心筋梗塞による心不全」と言い換えることが出来ます。
作成済プロブレムリストの優先順位は、たとえ1箇所だけの入れ替えであってもリストのほ ぼ全面的な書き直しが必要となり、多くの労力と時間が必要となります。そこで当院では 2005 年4月よりプロブレムリストの作成や変更はコンピュータを利用して行っています。
ただし、プロブレムリストの保存は電子カルテのようなデジタルデータ保存ではなく、 紙メディアに出力し、カルテに貼付保存する方法をとっています。