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  バイタル経過表とPDCAサイクル
入院施設を持つ中小規模医療施設では電子カルテの導入を検討しつつも、コストがもう少し 下がるまでは紙メディアとペンを用いた診療録(カルテ)の継続を選択された施設が多いの ではないでしょうか。
当院のネットワーク(LAN)も現在のところ部分的オーダリングとコミュニケーション 手段としての利用が主です。
紙メディアの診療録では、右図ように体温を青、脈拍数を赤の折れ線グラフで記録する シートを使用中の施設が多いと思います。一般的には1ページに1週間分、集中治療室のよ うに処置や検査の多いセクションだと1ページを1日分のシートとして記録するデザインが 主流です。同様なシートの名称は様々と思いますが、ここは便宜的に「バイタル経過表」と 呼ばせていただきます
当院のバイタル経過表は、長年に渡り体温と脈拍等のバイタルサイン情報だけでなく検 査や処置の施行記録も記入して来ました。
POSシステムの見直しを始めた2004年9月から,POSにふさわしいバイタル経過表 作成に向けた検討も始めましたが、その中でPOSの理念「職種を超えた共有の診療録」 の実現には、バイタル経過表にも「PDCAサイクル」 (Plan,Do,See,Action)の共有化が必要という認識が高まりました。
新たなバイタル経過表は実施記録だけでなく、それらの実行予定(プラン)も視覚的に 共有可能なデザインとなるように、

※「PDCAサイクルを共有出来る」バイタル経過表

をデザインポリシーに掲げ、これまでの先入観を捨てて試作シート作製を開始しました。
評価テストに持ち込める試作シートが出来た段階で1ヶ月のテスト運用を行い、実際の 運用に耐える事を確認した上で2005年1月1日より「週間チャート」という名称で全面的な運 用を開始しています。
その後、バージョンアップも行いましたがPDCAサイクルを視覚化するという基本ポ リシーはそのまま継承しています。
実物をご覧いただくと否定的な評価を下される方もいらっしゃると思いますが、それも バージョンアップの貴重な資料となりますので、現行の週間チャートを公開させて戴きます。
  週間チャートのデザインについて
右に示した(図1)が「週間チャート」の縮小イメージです。
このシートのデザイン的特徴は中央より上部に集中しています。(図1)
→  ←で示した仮想ラインより上段がその 部分です。
→  ←の仮想ラインより下段は上段と対照 的に、ごく一般的なデザインパターンを採用しています。

週間チャートの特徴を列記しますと

 1)日付欄の位置
日付欄は最上段にデザインされるケースが大半ですが、ここではシートの中段に置いて、 日付欄から上下に記載をたどるデザインです。

 2)日付欄の曜日印刷
各種プランは1週間単位が大半を占めるため、月〜日の曜日もあらかじめ印刷しています。 日曜に入院された患者様を考えますと、右端欄に1日分記載して月曜からは次ページ記載と なります。

 3)斜線を用いたデザイン
主要部分を縦と横の罫線でデザインするのが一般的手法ですが、ここでは上下セクション の連結に斜線を用いています。ちなみに当院では斜線部をリーダーサイン欄としています。

 4)プラン確認用の灰色ボックス
このシートで最も特徴的な要素と考えています。 上段の左端には検査や処置の名称を記入しますが、施行予定の日には ボックスを黒で枠囲みし、実際に施行されたら ボックスにチェックマーク、その横に施行者のサインを記入 するデザインです。
この部分に関しては以下に追加説明させて戴きます。▼
 
上図は(図1)の拡大です。XGA15インチモニターなら原寸(A4)に近いサイズの見え方と思います。
 
当院では従来のバイタル経過表に処置や検査を記載する場合、実施記録のみで施行予定 は記載していませんでしたが、上に示した「週間チャート」の使用開始後は以下の手順で運用 しています。

▼(1)あらかじめ1週間分の処置や検査の予定を記入しておく。 (週間チャートの「週間」)
(2)(1)で記入した予定は毎日と限らないため、 施行予定日だけを枠囲みします。(P:Plan)
→実際に処置や検査が行われます。(D:Do)
(3)実際に処置が行われたかどうか、その結果はどうだった かをチェックします。(C:Check)
→チェックの結果、より優れた方法が無いかを検討します。(A:Action)

「週間チャート」は以上の4段階すなわちPDCAサイクル(P:Plan D:Do C:CHeck A:Action) の流れに沿った記載を意図したデザインです。
A(Action)段階に関する内容はこのチャートに記載しませんので、完全なPDCAサイクル に沿った記載には到達していませんが、当院がかつて使用していた単純な施行記録としての様式 と比べ、プランが視覚化されたことにより記載担当者以外にも有益な情報原となったと考えてい ます。
  週間チャートのご利用について
「週間チャート」は元洋会森山病院が著作権を保有しておりますが、 以下2点にご配慮戴けるなら
「パブリックドメイン(著作権フリー)」です。自由にご使用下さい。
 
1)以下3点のデザインポリシー保持を希望します。それ以外の変更は自由です。
  (1)日付欄を中段に配置する
  (2)日付欄に曜日も印刷する
  (3)灰色枠のチェックボックスを使用する
 
2)デザイン変更後の「週間チャート」は施設内使用に限定し再配布はご遠慮下さい。
 
サンプル(PDFファイル)を置いていますので[ w_chart.pdf 63.7kB ]ご覧下さい。必要ならAcrobat Readerのツールバー「コピーを保存」で保存して下さい。
試用された方がいらっしゃいましたら病院運営部門宛にご意見いただけると有難いです。